小悪魔な幼なじみ




外はさほど寒くはなかったが

温泉に浸かると一気に温まった。



「え?なんですか、それ」


隣からそんな声が聞こえてきて。

あたしは驚いた。


だって隣の男湯の露天風呂から聞こえて来たのは廉の声だったんだから…




「いやいや、廉くん。

そんな驚くほどの事じゃないよ」


「いや、驚きますよ」


………ね?どうして?

どうしてお父さんの声まで聞こえるの?



あたしは廉とお父さんの声に耳を澄ませる。



「もっと教えて下さいよ、昔の話」


廉がそう言うとお父さんが困ったなぁ…と言いつつこう言った。



「俺が零にフラれた…クリスマスのときの話しようか?」


「え?秋平さんがフラれた?クリスマスに?」


廉の食いつきがハンパない。


そう思いながら興味をそそられる内容で、

音を立てないようにそっと男湯のほうに近づいた。








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