秘密の誘惑

居留守

ビルの1階ロビーにエレベーターが到着して萌は足早に建物を出た。


会社の人が誰もいないところに行きたかった。



慣れない仕事と人間関係に萌は疲れていた。


肩から提げていたバッグの中の携帯電話が振動した。



着信画面を見るとディーンの文字。



ディーン・・・。



萌は立ち止って電源を落とすと急ぎ足で駅に向かった。






「居留守か・・・」


ため息を吐いたディーンは携帯電話を切るとイスの背に身体を預けた。


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