秘密の誘惑
ディーンは金の縁取りの白い陶器のお皿とフォークを萌の目の前に置く。


紙皿じゃないところが育ちの良さが出ている気がする。



「い、いただきます」


戸惑うけどディーンの心遣いが嬉しい。



今朝は昨日の事が何でもなかったように振舞われて悲しかったのだ。


仕事は仕事、恋愛は恋愛と割り切りたいのに心は出来なかった。



「食べたいものを言いなさい 取ってあげよう」


隣に座ったディーンは青い瞳でニコニコと萌を見ている。


「それくらい自分で――」


「萌、やってあげたいんだ さあ 何を食べる?」


甘い言葉を吐くディーンにこのまま流されても良いかなと思ってしまった萌だった。


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