秘密の誘惑
にこやかに近づき親しげに頬を寄せる。


「お久しぶりね ディーン」



タマラを通して数回会っただけだが、旧友のように話しかけられて内心うんざりする。



「君がマックス・リチャーズのガールフレンドだとは知らなかったよ」



話すこともなくそんな言葉が出ていた。



「相変わらず、仕事中毒なのね?」



「もちろん 生活の為だからね」



「まあ、あなたならば働かなくても最高の生活が出来るのではなくて?」



女性なら誰もがうっとりとしてしまう容姿に億万長者のディーン。



彼と別れたタマラが信じられない。



「タマラの近況を知りたいかしら?」



真っ赤に塗られた唇が嫌に目に付きディーンは嫌悪感を抱いた。



「いや、知りたくもない 失礼するよ」



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