秘密の誘惑
* * * * * *


萌はディーンの隣に座っていた。


足の長さが目に入って落ち着かない。


しかも萌の膝に少し当たっているのだ。


それに少し甘めの良い香りまで纏っているから余計にどぎまぎしてしまう。


何気なく腰をずらして窓際にべったりくっつく。


何気なくしたつもりだったのにそれが分かったのかディーンの口元が上がる。


クッと喉の奥で笑う声がして萌は顔を見た。


「そんなに隅にいるなよ 広いんだから」


「い、いいえ、支社長の足が長すぎて・・・」


萌がかぶりを振るとディーンがクッと押し殺したような笑い声を上げた。


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