秘密の誘惑
「貴方も何かお飲みになる?」


テーブルの上に置かれた空のカップを見てタマラが聞く。



「い、いいえ」



「タバコ失礼するわね」



萌が返事をする前に細身のタバコに火をつけて吸った。



バービー人形のような目の前の女性をまじまじと見つめてしまう。



この人はディーンが愛した人なんだ・・・。



「面と向かってみると、まだティーンエイジャーみたいな容姿なのね」



小馬鹿にした口調のタマラだが、内心は自分と正反対の容姿の萌に嫉妬していた。



「あの、お話ってなんなんですか?」


「コーヒー遅いわね」


イラッとした言葉が出てくる。


注文したばかりなのにタマラの言葉に萌は呆れる。



自分中心に回らないと嫌な人なんだ・・・。



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