秘密の誘惑
「いた・・・」
主寝室のベッドで何も掛けずに眠っている萌を見てホッと安堵する。
ディーンはスーツの上着を脱ぐと、無造作に猫足のイスの背に放り投げた。
ベッドに腰を掛けると横を向いて眠っている萌の顔を見た。
サラサラの髪が萌の顔を隠している。
「まったく、風邪を引くぞ」
指で顔にかかった髪を優しく払う。
サラサラの髪はすぐに戻ってしまうが、ディーンはそれを楽しむかのように何度も髪をかき上げる。
かき上げる手が止まった。
指がかすかに濡れた感じを受けたからだ。
「涙・・・?」
その声に反応したのか、萌の目蓋がゆっくり開いた。