秘密の誘惑
「では行ってくるよ」



腰を屈め萌の唇にキスを落とす。



「ディーン、あの・・・」



「ん?どうした?」



「今日は、今日は家に帰りたいの」



「かまわないよ 体が本調子でないのだからゆっくり休んで欲しい カーティスに送らせよう」



「あっ!いいえ、タクシーで帰れるから大丈夫です」



「そうか・・・気をつけて帰るんだよ?」



優しくそう言うと寝室を出て行った。



静かに閉まるドアを見つめていた萌の口から深いため息が漏れる。



心配してくれているけれど、そっけないのが寂しい。



そう思うとタマラの言葉が甦ってきた。



< 348 / 404 >

この作品をシェア

pagetop