秘密の誘惑
立っていられない。


そう思った時、ディーンが膝の裏に腕を差し入れ萌を抱き上げた。



「きゃっ!」


グラッと揺れたかと思ったらディーンの端麗な顔が目に入り、そしてソファに寝かされた。


「じっとしていなさい」


ディーンは萌を寝かせたまま、ポケットから携帯電話を取り出した。



『柏木です』



「救急箱を持って来てくれ 湿布が入っているか確認してくれ なければ医務室から取って来るように それとバケツに氷水 あとコーヒーも頼む」



続けざまにディーンは要求した。


『すぐにお持ちいたします』



電話を切った裕美は溜息を吐いた。


いったいディーンは何をしたのかしら。


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