秘密の誘惑
* * * * * *


玄関に重役と秘書を連れたディーンが姿を見せると受付の女性たちと同じように立ち上がり頭を下げた。


忙しそう・・・。


目と目が合うかなと期待が膨らむ。


だが、顔を上げた時はすでに足早に去って行くディーンの背中しか見えず、重役と話をしていてまったくこちらには眼中無いようだった。



萌は後姿を見て小さな溜息を漏らした。



漏らしてからハッとして左右を見る。


先輩たちは電話とスーツを着た男性の接待中だった。



良かった。見られたら大目玉ものだもんね。


「あのう」


目の前にヒールを履いた萌より目線が少し上のチャコールグレーのスーツを着た男性が立っていた。


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