ルームメイト
「もしもし?」

「夏木? ごめん。ごめんなさい」

「どした? 誰が来た?」

「分かんない。
でも学生みたいだったから。
夏木に用事があったみたいだし」

「どんなヤツだった?」

「髪の毛が茶色くて…
ふんわり立ちあがってる感じで」

「涼平だ!」

「お友達?」

「ああ」

「私、てっきり夏木が傘を取りに帰ってきたんだと思って相手を確認せずにドアを開けちゃったの。
どうしよう。ごめんなさい。
私のせいで一緒に暮らしてるのがバレちゃった」

「いや、日下部のせいじゃない。
俺の責任なんだ。
とにかく涼平は誤魔化すから。
日下部は気にすんな、いいな?」

「うん…」

電話の向こうの日下部は
心なしか泣いてるようだった。
俺が約束を破ったのがいけないのに
日下部は責任を感じている。

どうしよう。
どうしたらいい?

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