【件名:ゴール裏にいます】
金曜日。
いつも通りに出勤した。
郵便受けを見て四階へと上がる。
カードキーで扉を開け、いつものように雑巾を掛けた。
(彼女来ないな。まあ昨日の今日じゃ来にくいか・・)
しかし、始業時間になっても彼女は現れはしなかった。
そこへ支社長と部長が揃って重役室から出て来た。
(おかしいな・・今日は朝礼は無い筈だけど・・)
「おはよう。みんなちょっと聞いてくれ。緊急なんだが、辞令が出た。
勇次、お前本社に栄転だ」
支社長の言葉に僕は狐につままれた気分だった。
「ちょ、何でですか?何でこの時期に!」
「向こうで欠員が出たんだ。若い意気の良いのを欲しがってたから俺が推薦してやったんだ」
(嘘だ。これにはなんか裏があるはずだ・・)
「それと、那比嘉くんなんだが、家庭の事情で今月いっぱい休む事となった。まあいてもいなくても支障は無いだろう」
(那比嘉か!)
「勇次、来週いっぱい休んで良いから転勤の準備しとけよ。後で部長の所へ行け」
「じゃあ、勇次の栄転に拍手だ!」
みんなは一斉に拍手した。
「おめでとう」と声まで掛けられる始末だ。
ただ一人権田先輩の目だけは笑っていなかった。
町造部長から準備用の往復チケットと旅費の請求書一式を受け取り、緊急用に五万円を渡された。
「今日は一日使って仁田君に引き継ぎをしてくれたまえ」
「それから・・」
と言いかけて部長は「何でもない」と言った。
何もかもがおかしかった。
緊急にしては準備万端過ぎる。
夕べの那比嘉さんの件が絡んでいるとしてもこうは事が進む訳は無い筈だ。
仁田さんに引き継ぎを終え、夕方事務所に戻った。
(もうここにも来る事は無いのか・・)
寂しく黄昏れていた時に権田さんからメールが入った。
【件名:無題】
仕事が終わったら『とり蔵(ぞう)』で待つ。
(まあ最後に先輩の相手でもしてやるか。送別会だから先輩の奢りだな・・)
(ま、サラリーマンなんて所詮こんなもんだろう)
僕はこの時まではそう思っていた。
退社時間を向かえ、全員に挨拶した後に僕は居酒屋『とり蔵(ぞう)』に向かった。
権田先輩の予定は直帰になっていた。
いつも通りに出勤した。
郵便受けを見て四階へと上がる。
カードキーで扉を開け、いつものように雑巾を掛けた。
(彼女来ないな。まあ昨日の今日じゃ来にくいか・・)
しかし、始業時間になっても彼女は現れはしなかった。
そこへ支社長と部長が揃って重役室から出て来た。
(おかしいな・・今日は朝礼は無い筈だけど・・)
「おはよう。みんなちょっと聞いてくれ。緊急なんだが、辞令が出た。
勇次、お前本社に栄転だ」
支社長の言葉に僕は狐につままれた気分だった。
「ちょ、何でですか?何でこの時期に!」
「向こうで欠員が出たんだ。若い意気の良いのを欲しがってたから俺が推薦してやったんだ」
(嘘だ。これにはなんか裏があるはずだ・・)
「それと、那比嘉くんなんだが、家庭の事情で今月いっぱい休む事となった。まあいてもいなくても支障は無いだろう」
(那比嘉か!)
「勇次、来週いっぱい休んで良いから転勤の準備しとけよ。後で部長の所へ行け」
「じゃあ、勇次の栄転に拍手だ!」
みんなは一斉に拍手した。
「おめでとう」と声まで掛けられる始末だ。
ただ一人権田先輩の目だけは笑っていなかった。
町造部長から準備用の往復チケットと旅費の請求書一式を受け取り、緊急用に五万円を渡された。
「今日は一日使って仁田君に引き継ぎをしてくれたまえ」
「それから・・」
と言いかけて部長は「何でもない」と言った。
何もかもがおかしかった。
緊急にしては準備万端過ぎる。
夕べの那比嘉さんの件が絡んでいるとしてもこうは事が進む訳は無い筈だ。
仁田さんに引き継ぎを終え、夕方事務所に戻った。
(もうここにも来る事は無いのか・・)
寂しく黄昏れていた時に権田さんからメールが入った。
【件名:無題】
仕事が終わったら『とり蔵(ぞう)』で待つ。
(まあ最後に先輩の相手でもしてやるか。送別会だから先輩の奢りだな・・)
(ま、サラリーマンなんて所詮こんなもんだろう)
僕はこの時まではそう思っていた。
退社時間を向かえ、全員に挨拶した後に僕は居酒屋『とり蔵(ぞう)』に向かった。
権田先輩の予定は直帰になっていた。