下心と、青春と

相合い傘って気を使わないか?



特にすることもなくて、下駄箱にまだ入っている靴を見ていた。


そして気付いたことが一つ。


「け、剣之助くん、まだ学校にいる……」


嘘、彼は帰宅部のはず。


でも、そこにある靴が、彼がまだこの校舎にいることを示唆している。


「どうしよう、ここにいたら、会うことになる……」


どうしようどうしようとあたふたしていたら、剣之助くんが来てしまった。


「アンタ……なんでまだいんだ?」


「それは、剣之助くんもじゃん」


「ああ、オレは軽音楽部があって……」


「え?部活入ってたの?」


「いや、助っ人。なんか音楽性の違いでドラマーが抜けたから入ってくれって」


「へえ……」


もしかして、あのうるさくて下手な奴だったのかな。



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