ツギハギの恋
外の雨音が耳につく。

とりあえずあたしも着替えることにした。

ひなたを置いて洗面所に行くと濡れた制服を脱ぎ捨ててシャツを洗濯機に入れる。

鏡にうつった自分を見てため息が出た。


放置って……

放置とか……

放置かよ!


あたしそんな魅力ないわけ!?

確かにあたしが待てって言ったけど……少しくらい言うこときかなくてもよくないか?



複雑な気持ちで着替えて部屋に戻るとひなたは頭まですっぽり布団を被って寝ていた。


何でもないみたいに寝てんじゃねーよ。

くっそ、ムカつく……。


脱ぎっぱなしのひなたのシャツを拾いあげて洗面所に再び戻った。

そしてあたしのと一緒に洗濯機の中に入れて回した。



「早く記憶戻れよ……」


ポツリと漏れた自分の言葉が胸に引っかかる。


記憶……

戻るよな……?



でも

もしも記憶が戻らなかったら?




最悪のパターンが頭に浮かぶ。

あたしは力が抜けたように壁にもたれてズルズルと滑り落ちた。


あの時、夢前ひなたじゃなくてひなたなら……

あたしをベッドに招き入れて笑いながらギュッと抱きしめてくれたはずだ。


そう思うと涙がぽろぽろ止まらない。



「……バカ犬……あたしを思い出してよ……」


泣いたらスッキリするなんて嘘だ。
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