スカーレット


 バッグのチャックを閉めながら、私はある決心をする。



 角田一郎の件を探りながら、気付いてしまったこと。

 できれば気付かないままでいたかった。

 レポート用紙にも書くこともない、私の中の疑い。

 その疑いは、すごく現実味を帯びている。

 なのに不確かで、証拠もない。

 きっとそれが真実かどうかなんて、誰にもわからない。



 ただ、一人を除いては……。



 私の決心は、その疑いを本人に確認すること。

 それは今の私にとって、すごく勇気のいることだった――。




 
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