ホームレスサンタ
「これほどの物を掘れる方は、
 そうはいないと思います、
 昔はこの手の職に
 就いていたとか何か?」

雄一が言うと、
おじいさんは思い耽るように、

「もう、金目当ての
 卑しい商売には、飽き飽きじゃ。
 まあ、今も子供達相手に
 卑しい商売しておるんじゃがの、
 あんなちっぽけな
 彫刻をくれる代わりに、
 空き缶を拾ってこさせて、
 わしはそれを売って、
 お金にして生計を
 立てとるんじゃから。」

「でも、子供達は
 喜んでいますし、
 町は綺麗になります。」

「ホーッホッホ、
 それが唯一の救いかのー。」

とは言うものの、
雄一はおじいさんの
やっている事は、
立派な事なのだと、
関心させられました。

 次の日から、
雄一は毎日のように、
専門学校の帰りに、
公園のおじいさんの所に
立ち寄り、
彫刻の技術を学びました。

 雄一がおじいさんと
出会って二ヶ月、
季節も秋から冬に代わり、
十二月、クリスマスが
近づいていました。

「だいぶ上達して
 きたみたいじゃな。」

その日も、雄一は、
おじいさんの
ダンボールハウスの中で、
せっせと彫刻に励んでいました。
中は、雄一とおじいさんの
彫った彫刻で
ごった返していました。
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop