ホームレスサンタ
「ピューーーーーッ。」

そして、待つ事五分、
空から、鈴の音が聞こえてきました。

「カラン、カラン、カラン。」

雄一は、
自分の目を疑いました。

「トナカイだっ、
 しかも、空を飛んでる…。」

正式には、空を走る
トナカイ3匹が、
カラのソリを引いて、
二人の方に向かってきました。
そして、二人の
前で着地し、
ピタリと立ち止まりました。

「よく来たよく来た、偉いぞ。」

おじいさんは、
トナカイの頭を撫でました。
次の瞬間、雄一は
更に信じられなくなりました。
このトナカイは
木彫りなのです。
しかし、本物のように、
動いているのです。

「生きてるの?」

雄一は興奮を
隠し切れず、
鼻息を荒立てながら、
おじいさんに言いました。

「気にしない、気にしない、
 さあ、ソリに乗りなさい。」


 「ホーッホッホーッ。」

おじいさんの雄叫びと共に、
木彫りのトナカイ三匹は、
二人を乗せ、
空高く走り出しました。

「ホーッホッホーーッ。」

これは雄一の掛け声です。
あまりの感動に、
いつの間にか、おじいさんと
同じ雄叫びを上げていました。

「さあ、この辺で、配ろうかの。」

下を見下ろすと
住宅街があり、
その上空でソリを止めました。
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