近未来拡張現実エンタメノベル『MIKOTO-The Perfect PROGRAM』
☆拡張現実HMD(2)
銀色の小さな機体が上昇を開始し、真昼の夏空に浮かび上がる。
逆光まぶしく、2本の500mlクリスタルガイザーが情けなく吊り下げられている。勇壮なんだかそうでないんだかのダサカッコ良い光景だ。
さて、俺も様子を見るか。
俺は薄暗い小屋の中から、さっきまいらが着けていたのと同じヘルメットを取り出し、頭に被る。
勇壮な音楽と共に、ヘリコフの機載カメラの映像が視界に広がった。
背景には緑色のワイヤーフレームが踊り、宇宙空間を光速で突き進むような光景が、しまなみの風景に重ね映しで表示されていた。
このフルフェイスヘルメットは、「拡張現実」とか「HMD」とか呼ばれている。
HMDとはヘッドマウントディスプレイのことだ。
現実の映像が表示されるだけでなく、その上に色々な情報・・・例えば速度や風速、座標情報、その他自分が好きな情報を重ねてオーバーレイ表示できるのだ。
仮想現実というものがあったが、この場合は「現実」に「バーチャル」を重ねて、現実の世界を「拡張」する。
今、俺が見ているこの光景は、ヘリコフから送信されてくるカメラや風速などの情報と、まいらが趣味で選んだオーバーレイアニメと、まいらが趣味で選んだ音楽で構成されている。
それにしても勇壮すぎねーかこの音楽?ぼくらの地球を守る勢いだ。
かくして涼宮ハルヒ隊員が搭乗する無敵救助隊ヘリコフは、2本のミネラルウォータを運ぶだけのために決戦の地に赴く。健闘を祈る。
依頼人から座標情報が送られてくる。多々羅大橋の入り口へ登る自転車道でへこたれているようだ。熱中症なんて起こさなきゃいいんだが。
ヘリコフは銀河の海とリアルな空を突き進み、6分ほどで依頼人のもとに到着する。
「税込みで2300円になりまーす♪」
カンカン照りの空から、機載スピーカーのまいらの声が響く。
「ありがとう!マジでやばかった!」
汗だくの依頼人が、たすかったーの顔でミネラルウォーターをぶちっと取る。
「ポイント入金よろしく!」
「オッケー」
依頼者は水と携帯を手に、数字を入力し、決定ボタンを押した。
視界には極太明朝体ででかでかと「任務完了」と表示された。
まあなんつーか、こういう時代なのだ。2019年は。
銀色の小さな機体が上昇を開始し、真昼の夏空に浮かび上がる。
逆光まぶしく、2本の500mlクリスタルガイザーが情けなく吊り下げられている。勇壮なんだかそうでないんだかのダサカッコ良い光景だ。
さて、俺も様子を見るか。
俺は薄暗い小屋の中から、さっきまいらが着けていたのと同じヘルメットを取り出し、頭に被る。
勇壮な音楽と共に、ヘリコフの機載カメラの映像が視界に広がった。
背景には緑色のワイヤーフレームが踊り、宇宙空間を光速で突き進むような光景が、しまなみの風景に重ね映しで表示されていた。
このフルフェイスヘルメットは、「拡張現実」とか「HMD」とか呼ばれている。
HMDとはヘッドマウントディスプレイのことだ。
現実の映像が表示されるだけでなく、その上に色々な情報・・・例えば速度や風速、座標情報、その他自分が好きな情報を重ねてオーバーレイ表示できるのだ。
仮想現実というものがあったが、この場合は「現実」に「バーチャル」を重ねて、現実の世界を「拡張」する。
今、俺が見ているこの光景は、ヘリコフから送信されてくるカメラや風速などの情報と、まいらが趣味で選んだオーバーレイアニメと、まいらが趣味で選んだ音楽で構成されている。
それにしても勇壮すぎねーかこの音楽?ぼくらの地球を守る勢いだ。
かくして涼宮ハルヒ隊員が搭乗する無敵救助隊ヘリコフは、2本のミネラルウォータを運ぶだけのために決戦の地に赴く。健闘を祈る。
依頼人から座標情報が送られてくる。多々羅大橋の入り口へ登る自転車道でへこたれているようだ。熱中症なんて起こさなきゃいいんだが。
ヘリコフは銀河の海とリアルな空を突き進み、6分ほどで依頼人のもとに到着する。
「税込みで2300円になりまーす♪」
カンカン照りの空から、機載スピーカーのまいらの声が響く。
「ありがとう!マジでやばかった!」
汗だくの依頼人が、たすかったーの顔でミネラルウォーターをぶちっと取る。
「ポイント入金よろしく!」
「オッケー」
依頼者は水と携帯を手に、数字を入力し、決定ボタンを押した。
視界には極太明朝体ででかでかと「任務完了」と表示された。
まあなんつーか、こういう時代なのだ。2019年は。