甘い夏  煙草の匂い



「そんな…知りませんっ!…あっ!…」


顔をキスギリギリまで近づける。

至近距離で真那の瞳を見つめると、一瞬吸い込まれそうな感覚にクラッときた。


「だ…だめ…」

「真那…どこまで覚えてる?昨日の事。」

「え?えっと…ポ○リを飲んで…」

「そんで?」

「それで…おにぎり作って貰って…」

「その後は?」

「その…後?…あれ?」

「…。」

「…?」



…ダメだこりゃあ。



「そんでトイレ行ってきて、なんか話してるうちに俺に抱きついて…」

「えぇ?」

「離れろって言ったら、じゃあキスしろって言った。」

「う…ウソ…」



おそらく、左右のどちらの目を見て話せばいいのか、わからないんだろう。真那の瞳が小刻みにユラユラ揺れる。

そんな小さな仕草でさえ、息を飲むほど愛しく感じる。



腰に回した手を静かにTシャツの中へ忍びこませる。


「…やぁっ!」


肌に指先が触れると、真那の体は大きく反応する。

背中を這う指先から逃げようとするが、前へにげると俺の体とぶつかり、さらに密着する。



< 177 / 206 >

この作品をシェア

pagetop