KITUNE
一人の少年が、中で倒れていた。

…いや、寝ているのか?

よく見ると、胸が上下している。

けど…キレイなコだ。

わたしと同じぐらいの少年。

田舎には似つかわしくない、整った顔の少年。

胸が…少し高鳴った。

私は扉を静かに恐る恐る開け、中に進んだ。

埃臭く、床板は軋んだ。

ゆっくりと少年に近付き、顔を覗き込む。

ふと、気付いた。彼の顔の近くに、白いお面が転がっていることに。

手を伸ばしてお面に触れようとした時。

ぱしっ、と腕を捕まれた。

「きゃっ!?」

「…えっ? 女の子?」

無意識に掴んだように、少年はわたしを見て、眼を丸くした。
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