【奏】たらればの時間
思わず首を左右に振った


「だよな…俺が追い詰めたから…本当にごめんな」


優しそうに切なそうに笑う姿に胸がチクンッと痛む


「ちっ―違うの」


「…違わないだろ
俺がはっきりさせて欲しいってミサキを追い詰めたから…ごめんな

でも、俺はミサキの気持ちが知りたいんだ」


優しいところは変わってないのに…真剣な瞳


―――…だけど


ちょっと待って〜


『ちょっ、お願いだから…
ちょっと待って』


訝しげな表情を浮かべるけど
訳わかんないのは
私の方だってば〜!!


おそるおそる問う私に
色々教えてくれる


今がいつで
どうなってるのか…



ってか…嘘でしょ!?



こんな事、有り得ないよ!?


何がどーなってんの〜!?


「本当に大丈夫か?!」


「…ぅっ…うん」


返事したものの
頭はこんがらがったまま…



ただ話を要約すると
二股を自首して
どちらかに決めるアノ日の前に
時間が戻ったって事…



つまりは、もう一度

カズ…か


タク…か


どちらと未来を歩めるか
選択するチャンスがあるって事



確かにそう願ったけど
こんな嘘みたいな話

現実に起きちゃう?!


嘘みたいな本当の…話?



何度も今日の日付を聞く私に
心配そうな目を向ける


「本当に大丈夫か!?
もう少し寝とけ…なっ!?」

そう言われ大人しくベットに横になる私を見て安心したように部屋を出て行く


見覚えのある景色に
懐かしい匂い


そっと目を瞑った


…もしかしたら

目が醒めたら…夢かもしれない

そう思いつつ微睡み始めた



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