あまーいお時間

*気持ち

私が着いたときには
もう既に未夢は着いていた。

「凜ーっ
急にどうしたよー」

「実はね‥」

私は昨日のこと
今日のことを全て
話した。
未夢は、うんうんと
頷きながら聞いてくれる。

「‥でね、私
こんな短期間のうちに
悠希さんのこと
こんなに好きに
なっちゃったの‥」

「そっか~‥。
あたしからすると
相手も凜のこと
好きなんじゃない?」

願ってもきっと
ありえない話。
どう考えたって私は
遊び程度‥。

「ほーらっ
まだわかんないんだし
そんな暗い顔すんなよ~」

「みーゆうぅ‥」

-------‥

けっこう時間が
経ったのだろう。
外は夕日が昇っていて
綺麗なオレンジ色に
輝いている。

「じゃあそろそろ
帰るね、未夢。
今日はありがとう」

「おう!じゃあ
またな、凜っ」

未夢に礼を告げ
自転車に乗り
いつもの道を走って行く。

カップルの横を
自転車で横切る。

‥私もあんなふうに
なりたい。
不意にもそんなことを
思ってしまった。

悠希さんは私のこと
どう思っているのかな。
きっと遊び程度‥だよね。
報われない恋なのかな。
私、こんなの初めてで
わかんないよ。

無性に声が聞きたくなった。
会いたくなった。

私は向きを変えて
また本屋さんのほうへ
走った。


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