恋の唄
約束した待ち合わせ場所は駅前の喫茶店。
ケーキやパフェが評判良くて、雰囲気も落ち着いているお店。
店内に入れば、先に到着していた華原君の姿が見えた。
頬杖をついてガラス越しに景色を眺めている。
どこか、思いつめたような切ない表情で……
ふと、あの日、夕陽の赤に包まれた公園での華原君を思い出した。
「華原君」
押さえ気味に声を掛けると、華原君の瞳が私を映す。
久しぶりに華原君と視線を合わすことが出来て嬉しくなる。
同時に、愛しさと切なさがじんわりと心に広がった。
華原君の口元に僅かに笑みが浮かんで、一瞬だけ私の好きな優しい瞳になって。
「早かったじゃん」
言って、飲み物を口にした。