恋の唄
いつもいつも思っていた感情。
密かな願い。
それを口にすれば、一花さんは小さな声で言った。
「……私も、祐一郎が好き。別れたくないの」
当然の言葉だ。
ここで「それじゃあよろしくね」なんて身を引くのはドラマくらい。
現実はそんなに甘くない。
都合良く事は運ばないのだから。
それでも少しがっかりしてしまった私の心に、なんて嫌な女なんだろうという黒い感情を湧き上らせる。
恋した者のみが知る、醜い自分。
そして、その醜さゆえに強くなった自分が私の唇を動かし、音にした。
「気持ちは負けてないつもり、です」
言われると思ってなかったのか、一花さんは驚いた表情を私に向ける。