恋の唄
「……そっか。なんか、少しだけわかったかも」
「え?」
一花さんの言葉に首を傾ける私だったけど、一花さんは応えてはくれずにただ弱々しい笑みを浮かべるだけだった。
「それじゃ、私は帰るね。急に来てごめんね」
おもむろに立ち上がる一花さん。
彼女の柔らかそうな髪が揺れるのを見たら、何だか急に胸が締め付けられる感覚に襲われた。
華原君が心から愛していた一花さん。
きっと、とても素敵な人なんだろうと何度か考えた事があった。
どんな風に話すのか。
どんな風に笑うのか。
私は、何も知らないままでいいのだろうか。
同じ人を好きになるくらいの彼女を……