恋の唄


まるで誤魔化そうとするかのように俯き加減で左腕で頬杖をついて、手にはシャーペンを持った状態。

私は大丈夫なのかと先生をそっと確認。

すると、まだ華原君の居眠りには気付いていないらしく、先生は教科書の文章を読み上げて説明に没頭していた。

他人の事なのに何となく安堵して再び華原君に視線を移す。

スヤスヤと眠る彼の寝顔に、私は少し見入ってしまった。

長めの睫毛。
陽に透けたサラサラの髪の毛。

女生徒の間では『かっこかわいい』なんて言われているらしいけど、今の華原君はどちらかといえば『可愛い』の方が勝っていると思う。

ムニャムニャと口を動かして、何だか子供みたいで……

思わず笑みが零れてしまう。



< 20 / 204 >

この作品をシェア

pagetop