恋の唄
忙しなく動くシャーペンが描くのは何かと視線を反らさずに見ていると、やがて華原君の手がピタリと止まる。
そして、その手がどかされて華原君が声を潜めて効果音を出した。
「ジャーン」
同時に飛び込んできたソレ。
ソレは今、教科書に記載されている英文を読み上げ中で、モジャモジャ頭がトレードマークである英語教師の似顔絵だった。
決して上手いと言えない絵だけど、先生の特徴を掴んでいて。
「プッ…!」
思わず笑ってしまって慌てて口元を手で押さえた。
すると華原君は気を良くしたのか、再びペンを走らせて2作品目を描いていく。