恋の唄


すでに教科書は似顔絵だらけでゴチャゴチャだ。

今度は誰を描いてるのだろうと見守っていると、彼は時々フッと笑いながらペンを動かす。

気になって見ようとしても華原君に隠されてしまっておあずけを食らってしまう私。

やがて手を止めた彼がトントンとシャーペンでイラストを叩いた。

『見ろ』の合図だ。

私は少しだけ彼に近づいて、そのイラストに目をやった。

そこには……


頬をプゥッと膨らませ怒った女の子。

そしてその下に書かれた文字。


“ 廊下に立たされた時の結衣 ”




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