恋の唄


その華原君は、机の下に携帯を隠してポチポチと操作を繰り返していた。

ちょっと難しい顔をして。

テニスをしている時もこんな真剣な顔したりするのかな?

ってゆーか……少しドキドキしている私。

華原君と接するようになってからの私は、彼の色々な表情を見る度に心が落ち着かなくなる。

かっこいいから、彼がそれだけの魅力を持っているからなのか……それとも……

と、私の視線に気付いたのか、視線が合ってドキリとする。

そんな私の心音には気付かず、彼はニッと笑ってディスプレイを私に見せた。

見えたのはメール作成画面でもなんでもなく、アプリゲームだった。

いつもの如く、私たちは声を潜めて会話する。


「結衣もやる?」

「何のゲーム?」

「浮気を暴くゲーム」


…なんてダークなゲームを授業中にしてるんだろう、華原君は。

でも難しい顔の理由は良く分かった。



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