恋の唄
チャイムが鳴って、沈んでしまった気持ちを持ち上げたくて私は立ち上がる。
伊織ちゃんのクラスにでも行って泊まりの話しでもしようと考えた。
楽しい気持ちを呼び込もうと。
けれど、それは華原君の声によって止められる。
「結衣、ちょっと待て」
「……どうしたの?」
「どうしたのじゃねーよ。メアド教えて」
彼の一言で心の重さが急激に軽くなっていく。
単純すぎる自分の心に、気付き始めた何か。
「あとケー番も」
「う、うんっ」
急いで携帯を鞄から出して、私は華原君に番号を教えた。
「サーンキュ。後で送るわ」
「ありがとう」
それから、ごめんなさいと心で謝った。