とりまー紀文
⑥ウガガ「ウーちゃん」マッハの巻 ペキニーズ
 ペキニーズは、中国の皇帝たちに寵愛されたせいか誇り高いというが、このウーちゃん♂10歳も例外ではない。
真っ白な毛、ちょっと大きめ7kg、鼻の上のカピカピをふこうとするとウガガと噛みついてくる。
 チャッカ チャッカ…木のフロアの上を歩くウーちゃんの足音は、いつもテンポが決まっている。
驚いた事にホテルやトリミングのお迎えの時、このテンポが倍速になる。
飼主さんは、ウーちゃんをみると遠くから両手を広げ「ウーちゃ〜ん」と呼び、それに気付いたウーちゃんは、たぶん、おそらく、彼の中での最高速度で走っていくのである。
しかし、…おそい。遅すぎる。…なかなか到達しない。
チャッカ チャッカ チャッカ チャッカ、 ウーちゃんの必死さが音で伝わってくる。
-PS-
 ウーちゃんが全速力で走るのは、お迎えの時だけかと思っていた。
しかし、実はそれを越えるスピードで走るウーちゃんを見てしまったのである。
 季節は夏、そう茹だるような暑さ…。
トリミングの間々のトイレ休憩のため、ウーちゃんにリードをつけて外に出た。
外はモァーと熱気がたちこめている。
木陰で用を足したウーちゃん。そこからだった。
ものすごいダッシュでクーラーがきいている室内へと向かい走り出したのである。
チャカチャカチャカチャカ。!我が目を疑った。
どうもウーちゃんは暑さに弱いらしい。
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