Chain〜切れない鎖〜
「あたし、基夫さんと別れた。
無理だって分かったから。
あたしはかずくんを傷つけたけど、かずくんを癒せるのは芽衣だけだと思う。
…あたし、別れて良かった」

「綾…」

あたしを見つめる綾の視線は嘘ではないことがよく分かった。
あれだけ寂しがり屋だった綾が一馬のお父さんと縁を切れるなんて。

綾も少しずつ前進しているんだ。

駄目だよね、あたしだけこんなんじゃ。

一馬の過去も全部受け入れて、前向きに生きるって言ったのはあたしなのに。




「一馬の実家、どこ?」

そう綾に問いかけた。
綾はすごく嬉しそうに笑ってくれた。





みんな、少しずつ前に進んでいるんだ。
だからあたしも前を向かないと。

終わってしまったことは仕方がない。

一馬が好き。
その気持ちに嘘はないのだから。

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