Chain〜切れない鎖〜
廊下が1キロにでも思えた。
一馬の歩幅は思ったより広く、全然追いつかない。

そして曲がり角を曲がった時、遥か遠くに一馬の後ろ姿が見えた。
きちんとブレザーを着た、いつもの一馬の姿。
だが、その背中がすごく小さく見えて、あたしは我慢できず叫んでいた。


「一馬ぁ!」

振り返ることもなく歩く一馬。

聞こえないなら何回も叫んでやる。
気付かないなら走り寄ってぶっ飛ばしてやる。

だって、一馬はあいつらじゃない。
あたしを守ってくれたんだから。
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