Chain〜切れない鎖〜
光の向こうに
いつのまにか、半袖を着るようになっていた。

木々は緑色を増して、近付く夏を待っていた。

確かに時間は過ぎている。だけど、あたしの時間は止まったままだった。






「桜井君に意地悪されてない?」

華が心配そうに聞く。

「あいつは性悪だからね」
冗談でそう答えた。




実際、一馬と付き合っている実感はない。
いつも馬鹿みたいな話をして、お互いをからかいあって終わる。

カップルらしいこと。
強いて言えば、二、三回一馬の自転車の後ろに乗ったことくらいだ。
もちろん進展なんてないし、「好き」なんて言うこともなかった。
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