年下彼氏。*ハツカレ*


「玲」
って呼ぶお母さんの声が
「絢音」
って呼んでいるようで嫌だった


お母さんの欲しかったものはあたしじゃなくて、ここにはいない絢音

お母さんが名前を呼びたかったのも絢音

慈しみ育てたかったのも絢音

きっとあたしなんかじゃない


絢音の命日(流産してしまった日)の度にあたしは絢音の影から逃れられない


「玲、ぼぅっとしてどうしたの?やっぱり具合でも悪いのかしら?」


霊園から帰りの車の中でお母さんが助手席から声をかけてきた


「うぅん、具合なんか悪くないよ?どうして?」

「正美さんもさっき気にしてたし、なんだか顔色も悪い気がして・・・」




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