地味なあたしと不良軍団

秋は依奈の反応で、薄々と気持ちに気付いていく。

(そっか、そーゆー事か)
彼は苦笑した。

奏になら、譲ってもいい。

とん、
秋は奏の肩に手を置く。
「鈍感」
「はあ!?」

「ほんまに、奏ちゃんはあかんなあ…」

もしかしたら、薫も依奈の気持ちに気付いていてわざとあんな事を言ったのかもしれない。

「奏くん、…」

地味な彼女と学校で結構目立つメンバーが集結している。

それだけでまわりの視線を集めた。

ほんのり赤く染まった頬の彼女は、何かを伝えようと口をモゴモゴさせる。

(もしかして、)
奏は口元をつり上げる。

本当に、自惚れてもいいかもしれない。

「バカ依奈。」
「い、いきなりバカって、ひどい…」

ぐい、
奏が彼女を引き寄せる。

「俺はお前しか見てねえよ」

公衆の面前だということを忘れて、依奈を強く抱き締めた。
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