地味なあたしと不良軍団
恋しちゃったんだ
「…うー。」
ベッドに顔を押し付け、いまだにドキドキしている心臓を落ち着かせる。
あのあと、ファミレスに行って三人で夕御飯を食べた後薫と別れた。
何も無かったが、薫が笑顔で自分を見る回数が増えた気がする。
ほんと、どうしたんだろう。
恵美に相談してみようかな。
数少ない友達の名前がパっとひらめき、携帯に手を伸ばす。
が、よく考えて見ればそれは良くない事だと分かった。
(そういえば、薫くんは恵美ちゃんと付き合ってたんだっけ…)
依奈が見た感じ、お互い好きという感情はなさそうだが相談はできない。
二人の間に愛はなくても、付き合うことを選んだのは恵美自身なのだ。
がちゃり、
急に部屋のドアが開いた。ノックも無しに入ってくる人物は一人しかいない。
「風呂。」
風呂あがりの奏の髪から、水滴がぽつぽつと落ちている。
いつもと違うまっすぐな髪をみて、不思議な感じがした。
「…うん」
「なあ、依奈」
ゆっくりと近づいてくる。甘いシャンプーの香りがした。
「な、なに?」
「…俺じゃ、駄目か?」