地味なあたしと不良軍団

「俺のだからな」
「…?」

何が?
依奈はそう思ったが声に出すことはなかった。

とりあえず、時間があるなら少しでも部屋の整理をしようとした時に携帯が鳴る。

…恵美からだ。

ピ、
「もしもし」
『今大丈夫?』
「うん、全然大丈夫だよ」

依奈は立ち上がり、リビングから自室へと向かう。

『あのね、今日のことなんだけどデートとかそういうのじゃないのよ』
「え?」

『映画のチケットがたまたま余ってて、ああいうグロいの誰も見たがらないから変わりにあたしがついてっただけだし』

本当は、デートがよかったけど。と言う笑い声が聞こえて恵美を羨ましく思った。

『映画みたあと、時間あるから広場でやってたライブ見に行ってたの。かなり凄かったわ~』

「いいなあ、あたしも行ってみたい」

思ったより普通で、薫と恵美が何もなかった事に安心してしまっている。
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