蝙蝠伯爵-コウモリハクシャク-
ピチャ

ピチャ

ピチャ



またしてもどこからか水音が聞こえてきた。



「またかよ…勘弁してくれよ…」



古橋は震える足をゆっくり前に進めていき音の根源を探す。


耳を済ませて音のする方へ突き進む。



ピチャ

ピチャ

ピチャ



徐々に音が大きくなっていく。


どうやら一番奥の病室が根源らしい。


古橋は扉の前まで来ると一度大きく深呼吸をした。


そして意を決して中を覗き込む。



「………………村上さーん……」



まるで内緒話をするかのように部屋に呼びかける。


だが返事はない。


注意深く部屋に入るとすぐ真横の個室からあの水音がする。


そこは病室に付属しているトイレと洗面所がある個室だった。


古橋はその個室をゆっくり開けた。
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