りんねの歌



────フィグル────

「それは…誠か」



フィグル国の王、ノンが顔を強張らせる。



「はい。ウェルトが不穏な動きをしていたので調べてみたところ、凜音様が生きておられました」



「凜音が………」



───我が一人娘よ……




「凜音様がアクア様の生まれ変わりだと言うことは知っておられるんですか?」



兵士は王に問う。



「あぁ…。だが不覚にもルチアとナヤマが凜音を連れ出した後に知った」



凜音のお世話係、ルチア。そしてボーディーガード、ナヤマ。



「何故あの二人は凜音を城から連れ出したかさっぱりわからぬわ」



王は遠くをみつめる。


そう、この王こそが凜音の本当の父親である。



妃はもうこの世にはいない。数年前、病気で他界したのだ。




「凜音様は魔法が使えるようです」


「ほう……」



───さしずめルチアが教えたのであろう。




ルチアは世界有数の大魔法使いだ。




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