ウェディング・ストーリー



時々、思い返すあの頃。もう戻れないけれど、
何の利害関係も無い、おかしな出会いが、とても心地良くて、それでいて自然な自分でいることができた。



最後に颯斗と会ったのは、私が最後にお別れを言った日だ。



あれから、がむしゃらに日々を過ごして、ようやく夢見た仕事で、人の役に立ちたいという思いを少しずつ近付いている気がする。



私は、全てを捨ててでも、掴みたかったのだ。
一人で生きていく覚悟と、勇気を。



今なら、自信をもって自分の仕事に誇りを持てる。
あの頃頼りなかった自分よりも成長できたと、胸を張って言える。



色んな出来事がある毎日だけど、この仕事を選んで良かったと、心から思えるのだ。



だから、大人になっているであろう颯斗にも、
そんな仕事が見つかっているといいな、と思った。


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