ゲーム『THE地球』
デパート暮らし
 それから、
タケシは、デパートから
一歩も出ず、
時間でいえば、
二週間程が経ちました。
確かに、
ここにいる事は、
あの“裂け目”の
中にいる何者かには、
分からないとみえ、
危険にさらされる事は
ありませんでした。
とは言え、
タケシには、
どれ程経ったのか、
知る由もありません。
時間は午後二時十三分のままであり、
日付けが代わるどころか、
夜になる事もありません。
デパート内、
無数の時計があるにも
関わらず、
どの時計も、
どんなに電池を取り換えようと、
動く時計はありませんでした。
時間を知る事は出来ずとも、
幸いな事に、
時計以外の電化製品等は、
問題なく、
作動しました。


 タケシは、
デパートという、
何でもある、
環境を巧く利用し、
自由気ままな
生活を送っていました。
日曜日の午後二時、
結構な人で
賑わう時間であり、
買い物客が
ごった返していますが、
それが、すべて動かず、
無音の空間なのですから、
異様と言うしかありません。
そんな中でも、
タケシは、慣れたもので、
人目?を
気にする事はありません。
食べたい時は、
食品売り場へ、
運動したい時は、
トレーニング機器売り場へ、
そして、
本を読みたい時、
ゲームをしたい時、
映画を見るのにも、
その量に
困る事はありません。
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