地下
愛華は突然の徹の言動に驚きを隠せないでいた。


そして、その言葉は恐怖心を抑え紗絵子を掴んでいた手に緩みを与えた。


咄嗟に手に力を込め、最悪の状態を回避する。


平常心を保とうとしていた愛華の心は絶望感で埋め尽くされそうとしていた。


そんなときだった、紗絵子が苦しそうに言葉を発したのは。


「愛華さん、もう良いわ手を……離して」


「そんな」


愛華は目を見開く。


「あなたまで道連れにしたくないもの」


「諦めないで下さいっ先生」


泣きそうになる愛華に紗絵子は何かを決心したように頷き微笑んだ。


「……っ!!」
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