地下

日記―現在

｢っ蓮!?｣


驚いて声を発したのは彰だった。


目をカッと見開き、息をするのも忘れたかのような表情をしていた。


そんな顔をする理由は解っている。


知らぬ間に女二人が潜んでいたのだから。


次に声を発したのは壮一だった。


｢愛華ちゃん!?先生まで…どうしてここに｣


顔に向けられていたライトの光がスッと床に移った。


恐らく、彼らは初め二人を別のモノとして瞳に捉えていたのだろう。


そう、例えば霊。


無理もない、この暗闇でいきなり現れた女を見たら、見間違えてもおかしくないのだから。


例え霊に遭遇したことが無くとも、暗闇に長い髪の女性というワードが嫌でも、イコール霊だと脳のどこかにすり付けられていたのだ。


そして、霊ではなく普段顔を合わせる事の多い生きてる人間だと分かっても尚、驚きの表情が変わらないのは新たな疑問が生まれたがら。


何故この場にいるのかということ。