季節のあいだに
奈津だった。

「奈津…どして?」

「クラスの奴に亜希どこに居るか聞いたら、誰かに呼び出されたって言うから…てか亜希ケガしてんじゃん!」

「こんなの平気…きゃっ」

立てなかった。
思った以上の捻挫だった。

「まずいいから座ってろって!…んで?あんたどういうつもり?」

奈津の顔は呼び出した女子に向けられた。

奈津の優しい表情は、冷たく怖いものに変わっていた。


女子は完全に怯えていた。
「そいつ…亜希がみんなの奈津を…」

「は?意味わかんねえ。俺、お前らのものになった覚えねえけど。」

「で、でも…」

「お前卑怯だと思わねえの?こんなとこに亜希1人呼び出して、ケガまでさせて。まじ狂ってる。」
こんな怖い奈津を見たのは、初めてだった。

女子は逃げるようにして帰っていった。


ねぇ奈津、あたしあの時すごい嬉しかったの。

あたしを助けてくれたんだよね。
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