季節のあいだに
奈津はあたしの方に駆け寄ってきた。
いつもの優しい表情で。
「大丈夫か?」

「平気だってば!ちょっとした捻挫だよ。…ありがとね奈津。」

あたし、なんだか涙が出ちゃった。

奈津の笑顔は、この優しい表情は、もうあたしに向けられることはないんだと思っていたから。

でも目の前に居るのは、紛れもなく奈津で。

この優しい表情は、紛れもなくあたしに向けられてるんだ。

「亜希?!泣いてんの?!」
「嬉しいのっ!嬉しくて涙でてきたの!」

「ん。俺も嬉しっ!」

「え、なんで?」

「だってずっと亜希、俺のこと避けてたじゃん。結構ショックだったんだぜ?だから今こうやって話せて嬉しい!」


そんなふうに…そんなふうに思ってくれてたの…?


涙が止まらなかった。

奈津はそんなあたしのそばで、ずっと黙ってあたしが落ち着くのを待っててくれた。

あの優しい笑顔で。

今奈津のとなり、すごくあったかい…
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