君はここにいた。


――――



 適当に本を見つけて大倉たちのとこへ戻ると、案の定「遅い。何してた?」としつこく攻められた。



 それでも俺は、槝木のことは一切話さなかった。


「なかなかいい本が見つからなかった」

 とだけ、言っておいた。






 帰り、本をもとの場所に戻す際に、もう一度医学書の棚のとこを寄ったが、すでに槝木の姿はなかった。




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