君はここにいた。


「この近くにあると聞いたんだけどねぇ。どうも見当たらなくて」


 おばさんも困っている様子だけど、僕だって相当困っている。


 知らない、と一言言えば済むのに。
 期待を背くのは、どうも気が引ける。ある意味、僕の悪い癖だ。


 僕は、おばさんの前で黙り込んでしまった。


「…もしかして、北小学校ご存知ないの? それなら良いのよ。ごめんなさい」


 しばらくたって、僕の様子に気づいたおばさんがそう言ってきた。


 僕は慌てて顔を上げた。


「あ、あの…」




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