君はここにいた。



「俺がカラスなら、アンタはウサギだ」







 は?

 驚きのあまり、僕の身体は一瞬固まってしまった。


「え…ウサギ?」

「宇佐見 凪だから、略してウサギ。…あぁ、ウナギって略し方もあるな」

「え? い、いや、ウナギはイヤだ!」


 ウサギとウナギだったら、ウサギの方がましだ。
 ウナギは何が何でもイヤだ。


「じゃぁ、アンタはウサギだ」


 カラスがまたニヤリと笑う。





「よろしくな、ウサギ」




 手を差し出された。


 僕は何故か逆らえず、気づいたらカラスの手を握っていた。



「よ、よろしく、カラス」




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