桃太郎【Gulen】


「乙姫よ、この三人を出雲の国へと連れて行きなさい。鬼退治に行くそうだ。」


 え?


「はい、かしこまりました。」


 いや、かしこまりました・・・ではない!


「ま、待ってください。浦島様。乙姫様は女性です。」


「あら?何か問題でも?」


 むしろ、問題しかないだろう。


「私たちとて、倭の国の武士(もののふ)。鬼との戦に女子を連れて行くとなれば、後世までの恥。ここは、ご配慮ください。」


 戦場は男の場。


 そこに、女を連れて行くなど、言語道断。


 そのような軟弱な物持ちで鬼に勝てるとは思えん。


 いや、万が一勝てたとしても、はやり女連れでは、カッコがつかん。


「そうは言うが、この女、それなりのテダレじゃぞ、おぬしの従者二人とも引けを取らぬではないか?」


 金太郎や悟空と並ぶと?


 この女性が??


「・・・ご冗談を。」


 仮にも金太郎は国一の力持ち。


 悟空は唐からの使者だぞ。


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